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emotion laboratory

感情は人生の羅針盤

涙の科学 その1

人はなぜ泣くのか、そして、なぜまったく泣かない人もいるのか。

涙の謎に迫った、とても興味深い記事です。

time.com

進化論の祖、チャールズ・ダーウィンは、感情を伴う涙を“目的のないもの(purposeless)”と主張しましたが、それからおよそ150年の時を経てもなお、涙はミステリアスな現象とされています。

2013年には、『Why Only Humans Weep(なぜヒトだけが涙を流すのか)』という本が出版されました。(残念ながら、邦訳はまだ出ていないようです。)

ヒト以外の動物は、興奮や身体的な痛みの反映として涙を流しますが、ヒトは、感情によって涙を流す唯一の生き物です。

感情といっても、ただ悲しさだけではなく、びっくりしたときも涙が出ますし、もらい泣きやうれし泣き、悔し涙など、涙はさまざまな感情とセットになります。

このように、涙が感情と密接に結びついているためでしょうか。かつては、涙の源は心臓(heart)であると考えられていました。旧約聖書には、涙は心臓の一部が弱って(!)液体となって流れ出したものという記述があるそうです。

ヒポクラテスの時代にも、涙の誘因は心(mind)であると考えられていましたし、1600年代には、感情(特に愛)は、心臓(heart)を熱して水蒸気を発生させ、その水蒸気が頭まで上昇すると、目の近くで凝縮されて涙になる(!!)という、驚くべき理論が一般的だったそうです。

しかし、1662年にデンマークの科学者Niels Stensenによって、涙腺が涙の源であることが明らかにされました。

この発見から、科学者たちの関心は、この涙という瞳から流れる液体に、どのような進化論的な意義があるのかを分析することへと移っていきます。

Stensenは、瞳を乾燥させないのが涙の役割であると考えたそうですが、涙腺を発見する前の感情と強く結びついていた涙の意味に比べると、何だかあまりに味気ない感じがしてしまいます。

しかし、2010年代に入り、“涙の科学”における最新のトピックは再び、感情や他者との結びつきに回帰しつつあるようです。研究者たちは、涙が、恋のときめきとは違って、瞳から溢れ、頬を伝い、“他者の目に見える形”で示されることに注目し始めているようなのです。

少し、長くなりそうなので、続きはまた次回としたいと思います。