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emotion laboratory

感情は人生の羅針盤

思いやりが身体にも良い理由。

写真が愛らしく、つい目をとめてしまった記事です。

healthland.time.com

今回の記事で紹介されている研究は、ポジティブ心理学研究の第一人者である、Barbara Fredricksonによるもので、とても興味深いものでした。

Barbara Fredricksonの著作は、2つ邦訳も出ています。

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他者とのつながりを感じられることは、心身両面の健康によいことはずいぶん前から知られていましたが、それは思いやりの気持ちを受けたり、与えたりすることが、迷走神経(the vagus nerve:脳神経の中で唯一腹部にまで到達する神経。副交感神経の一部でもある)の働きを整えるためであることが明らかになったのです。

迷走神経 - Wikipedia

元々、あらゆる感情は、ヒトの生存と適応に寄与すると言われていますが、怒りや悲しみ、恐怖といったいわゆる、より本能的な感情(一次感情とも言われます)に加えて、社会的な生活を営むヒトという種においては、優しさ(kindness)や思いやり(compassion)といった感情も、集団生活における生存と適応を促進する重要な役割を担うものです。

今回の研究の被験者のうち、一部の人々は、6週間にわたって、 “lovingkindness” meditation(あえて日本語にすると、慈悲の瞑想といった感じでしょうか…)のトレーニングを受けました。これは、自他への温かい思いやりに焦点をあてた瞑想です。

瞑想は、近年非常にブームになっており、健康にも効果的と謳われています。

しかし、この研究から、身体によい影響を与えるのは、ポジティブ感情と社会的なつながりを感じながら行われる瞑想であり、瞑想の質によっては、よい影響をもたらさない場合もあることが示唆されました。

自他への温かい思いやりに意識を向けるトレーニングを瞑想を通じて行なうことで、喜び、好奇心、楽しさ、穏やかさ、希望といったポジティブ感情への感受性が高まるとともに、他者とつながっているという感覚も強くなり、迷走神経が内臓を安定した状態に整えてくれる。

これは、ヒトがいかに社会的に作られているか、ということを表してもいるようです。ただし、これが、実際の他者ではなく、瞑想というイメージを媒介とした方法で行われていることも、この研究の大きなポイントでしょう。

実際の世の中に、自分とつながっていると思える相手なんていないと感じることもあるかもしれません。その場合は、自然や大好きだったペット、子どもの頃決して手放すことのなかったぬいぐるみなど、自分の心に、思いやりやあたたかさを点してくれる対象を思い浮かべる形でもよいでしょう。

大切なのは、あたたかい気持ちになること。そして、自分は何かとつながっていて、決してひとりぼっちではないのだと感じられることのような気がします。