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emotion laboratory

感情は人生の羅針盤

動物たちの情動システム:テンプル・グランディンの著作から

近年、心理学の領域では、感情を生存や適応のためのシステムとみなすことが一般的になりつつあります。

ヒト以外の動物についても、この“情動システム”という考え方は、もちろん当てはまります。先日もご紹介したこちらの本には、動物の情動システムについての記述があります。

動物が幸せを感じるとき―新しい動物行動学でわかるアニマル・マインド

動物が幸せを感じるとき―新しい動物行動学でわかるアニマル・マインド

 

動物にとって基本的な情動、これを、ワシントン州立大学の神経科学者ジャーク・パンクセップ博士は、“ブルーリボン・エモーション”と読んでいます。

それは、以下の4つです。

1. 探索

2. 怒り

3. 恐怖

4. パニック

探索 が情動に挙げられているのは、不思議な感じがするかもしれません。

パンクセップ博士は、探索を“あらゆる情動が発現する出発点”とみなしています。

やる気を起こさせたり、したくない気持ちを起こさせたり、何かに近づかせたり、避けさせたり…そんなふうに、動物に静と動をもたらすのが、探索の機能です。

情動(emotion)には、“motion”という動きを意味する言葉が含まれていますし、探索は、情動の最も基本的な形でもあるのかもしれません。

パンクセップ博士は、この他にも、3つのポジティブな情動を挙げています。

その3つとは、生殖と繁栄を司る“欲情”、母性愛と自愛を示す“保護”、成長のある段階で必ず訪れる“遊び”です。

動物の精神的な幸せとは、「怒り・恐怖・パニックのシステムをなるべく作動させないようにし、探索と遊びのシステムを刺激すること」であろうと、この本の著者、テンプル・グランディンは述べています。

これは、ヒトの子どもも例外ではないような気がします。

先日書いたorchid child(蘭タイプの子ども)には、特に、上記のような環境づくりが書かせないでしょう。

emotion-lab.hatenablog.com

ちなみに、この本の著者テンプル・グランディンは自閉症の動物学者です。

orchid childの特徴は、自閉症児にも良く当てはまります。

自閉症児は、視線の合いにくさや抱かれるのを嫌がる様子、そして、ひとり遊びが多いなどの行動から、“自閉的”、つまり、外の世界への関心が薄いと誤解されていますが、自閉症の子どもたちをよくよく観察していると、彼らはその感受性の鋭さや感覚の過敏さ故に、他者を回避しているように見えることが多々あります。

一を聞いて十を知るような繊細さ、そして一つのことを探求し続けるこだわりの強さという優れたところをのばしてあげると、研究者として大成することが多いので、こうした特徴を、ただ“障害”とだけ捉えるのではなく、そこに周囲の人たちが“可能性”を見出せる情報になればと思います。

グランディンの著作には、まだまだ興味深いことがたくさん書かれているので、引き続き、取り上げていきたいと思います。