Talk to Your Heart

〜自由が丘カウンセリングオフィスのblog〜

カウンセリングで育むのは、柳のような心。

強い心と聞いて、みなさんはどんな心のあり方をイメージするでしょうか。

・他者からの評価を気にしない。

・人から何を言われても自分の考えを貫く。

・自信がある。

・ブレない。

こうしたあり方が良いものとされる一方、最近では、これらの特徴を備えた(と考えられている)社会的に影響力を持つ人たちが、思いやりや想像力に欠ける発言をして、批判を浴びることも少なくありません。

強い心と言われて、一般的にイメージされるのは、鋼のような心です。

確かに、鋼の心を持っていれば、誰に何を言われても傷つかないかもしれませんが、冷たくてあたたかみや柔軟性に欠け、自分に歯向かってくる相手を見下したり、攻撃したりするという印象があります。

強くあることや勝つことにこだわり、自分をいつも優位な位置に置いていなければ、安心できません。

一方で、カウンセリングを通して多くの人が得ていくのは、柳のような心です。

上記の4つは、柳のような心の持ち主にも見られますが、こちらは柔軟性があり、冷静で、寛容な印象があります。

柳のような心を持つ人は、相入れない考えを持つ人を、傷つけるたり叩きのめしたりするのではなく、「これ以上はかかわらない」と境界線を引いたり、距離をとってかかわります。

力に対して力を使うというより、「いなす・かわす」といった武術の達人のようです。

また、自分の心にもポジティブな感情もネガティブな感情もあると知っているため、他の人の感情にも寛容になれます。

誰かが感情的になって放った一言にも、言葉尻を捉えて攻撃したり、避難したりするのではなく、「どうしてそんな気持ちになったのだろう」と、その言葉の背景や相手の状況に思いを馳せるのです。

この2つの心のあり方の違いは、弱さとの向き合い方の違いかもしれません。

鋼の心を持つ人は、弱さを恐れ、蔑み、攻撃し、自分の中にある弱さから目を背けます。

一方で、柳の心を持つ人は、弱さは怖いものではない、誰の中にもあるものだという認識を持っている、あるいは身につけていきます。

むしろ、この弱さへの肯定が、柳の芯を作っているように思われるのです。

カウンセリングで育んでいくのは、この柳のような心のあり方です。

自分自身と向き合うプロセスの中で、こうした心のあり方が自然に作られていくのです。