「早く行きたいなら一人で行け。遠くまで行きたいならみんなで行け」
アフリカの諺にこんな言葉がありますが、これを体験というものに当てはめても、同じことが言えると思います。
カウンセリングオフィスにいらっしゃる方の中には、これまで一人で自己理解を進めてきたという人も少なくありません。
ただ、一人で進める自己理解は、どうしても知的なレベルにとどまりやすく、論理的で、体験的に浅いものになりがちです。
カウンセラーと一緒に、改めて自己理解の道を歩んでみると、もっと深い理解に至ることがある。
つまり、"体験的にもっと遠くまで行ける”のです。
先日、スーパービジョン(より経験のある専門家から指導を受けること)の中で、私自身もこれを実感する出来事がありました。
スーパーヴァイザーと一緒に、自分のカウンセリングのビデオを見ていただけだったのに、
「あれ、このときはわかっていなかったけれど、これはもしかしたら、こういうことだったのかもしれない」
というより深い理解が、突然ふわっと降りてきたのです。
これは、そのカウンセリングをしている最中にも、自分一人で録画を見直しているときにも起こらなかった、より正しいと感じられる理解でした。
「早く行きたいなら一人で行け。遠くまで行きたいならみんなで行け」
理解には、いくつかの層があります。
一人で理解したことも、決して間違いではないでしょう。
しかし、安心感を感じさせてくれる誰かと一緒に、もう一度、自分が歩んできた道のりを振り返ってみるとき、そこには、より深く、より腑に落ち、より自分の力になる、そんな理解が訪れるのだと思います。