カウンセリングをしていると、たまに、私の中の悪いくせが顔を出すことがあります。
それは、クライエントさんと一緒になって、もしくはクライエントさん以上に、頑張りすぎてしまうこと。
カウンセリングには、休みたいと言えない方、自分の時間が取れない方、何もしないことに罪悪感を覚える方も、たくさんいらっしゃいます。
その中で、カウンセラーと一緒に、カウンセリングの中でも頑張ることは、時に、クライエントさんの日常でのパターンを繰り返してしまうことになる。
それでもつい、「よくなる」ことを目指して、私のほうが気負いすぎてしまうことがあります。
そんなとき、私に方向転換を促す気づきを与えてくれるのも、実はクライエントさんなのです。
日常で頑張りすぎて、心がすり減ってしまうときには、「何もしない」時間が必要です。
何もしないでいることを責められず、何もしないでいることも共有でき、何もしないでいることを喜ばれ、歓迎される。
「何もしていないあなたといることが、私にとっても心地よい時間です」
と伝えてもらえる時間。カウンセリングは、時にそういう時間・空間として機能します。
それは、大人になると、なかなかないことかもしれません。
でも、私たちの心は、ただ眠っているだけの赤ちゃんや動物を見ていると、ほっとゆるんでいくものです。
風に流れていく雲や、風に揺れる木々を見ているだけで、心はすーっと晴れていきます。
何かしていないと価値がない。
この言葉がいかに、自然なありように反しているかを教えてもらえるようです。
何かしていないと価値がない。
役に立てなければ、いる意味がない。
今度、心の中にそんな声が聞こえて来たら、「本当にそうかな?」と尋ねてみてください。
私がそう聞いているところを、イメージしていただいてもいいかもしれません。
私たちの心は、何もしていない存在に触れたり、何もしていない時間を過ごすことで、ほっとして、癒され、元気になっていきます。
そんなメンテナンスモードの時間があるからこそ、何かをするためのエネルギーが、心と体に戻ってくるのです。