Talk to Your Heart

〜自由が丘カウンセリングオフィスのblog〜

カウンセリングですること:自分の中の「勇気」に気づく

カウンセリングでは、惨めで振り返りたくもないと思っていた体験の中に、宝物が見つかることがあります。

もし、過去の「惨めで振り返りたくもない体験」が、折に触れて思い出され、もやもやとした気持ちになることがあったら、「もう終わったことだから」と蓋をしてしまわずに、それをカウンセリングの場で話してみるといいかもしれません。

惨めで振り返りたくもないと思っていた体験の中には、実は、正義感や人を大切に思う気持ち、傷つくリスクがあると知りながら、相手に自分の思いを伝える勇気などがあり、それが「思い出してほしい」とあなたの心のドアを叩いているのです。

いじめられていた友人をかばったら、自分がいじめられるようになった。

好きだった人に告白したけれど、フラれてしまった。

他の兄弟のことばかり可愛がっている親の前で、「私のことなんていらないんでしょ」と言い、わんわん泣いた。

その当時にはわからなくても、大人になり、カウンセラーと一緒にそのときのことを振り返ると、見えてくるもの・気づけるものがあります。

「大切な友達がいじめられているのが許せなかった。その友達が離れて行ってしまって、自分はなんて馬鹿なことをしたんだろうと思ったけれど、今、その頃の自分がここにいたら、よくやったって褒めてあげたい」

「誰かに好きだっていうのって、勇気のいることですよね。あの頃は、恋が実るかどうかだけがすべてで、受け入れられなかったのは自分がダメだったからだと思っていた。でも、そうじゃないですね。あんなふうに、自分の気持ちをはっきり誰かに伝えるなんて、いまの私にはできないことかもしれない」

「私のことなんていらないんでしょ、なんて、ひねくれてて嫌な言い方だなって当時は思っていました。そんな言い方したら、親がもっと自分のことがうっとおしくなるんじゃないかって、怖かったですし。でも、確かにあれから、母がちょっと優しくなった気がするんです。上手な言い方じゃなかったかもしれないけど、まだ子どもの私には、あれが精一杯で、何とかしてお母さんに振り向いてもらいたくて、必死だったんだなって」

自分で、自分がやってきたことを認めると、「思い出したくもない惨めな体験」が、自分の勇気や誰かを愛する気持ち、愛されたいという切実な思いの詰まった体験に変わります。

自分が、そのとき考えうるベストを尽くした。

子どもながら、よくやっていた。

あんなに必死に誰かに向かっていく熱い気持ちがあったなんて、すごい。

過去の自分に、心から、そう言ってあげるクライエントさんをみるとき、カウンセラーとしても心が震える瞬間です。