傷ついている自分がいる。
それを認めること自体、実は難しいことです。
「こんなことで傷つくなんて弱い」
「傷ついている自分なんて、惨めだから認めたくない」
そんな思いがあると、傷ついている自分のことを攻撃して、この傷つきから目をそらそうとします。
「そんなことで傷ついてみっともない」
「弱いからダメなんだ」
「昔の傷をいつまでも引きずって馬鹿みたい」
カウンセリングの中で起こる転機の一つは、このようにして「自分で自分を痛めつけていると気づく」ことです。
これに気づくと、クライエントさんは一様にハッとした顔になります。
痛めつけられている自分に必要なのは、批判でも叱責でもないとわかるのです。
「今までちゃんとみてあげられていなくてごめんね」
傷ついて泣いている自分を、きちんと「みて」あげる。
一人ぼっちで傷つきを抱えてきた自分の声を「聴いて」あげる。
すごく些細なことに思われるかもしれませんが、こうした気づきが起こると、変化がぐんと加速します。
簡単なことではありません。とても勇気のいることです。
でも、だからこそ、自分の傷つきをきちんとみてあげられたときのインパクトは、大きく、揺るぎないものになるのです。