Talk to Your Heart

〜自由が丘カウンセリングオフィスのblog〜

カウンセリングですること:感情をしっかりと体験する。

自分の感情をしっかりと感じるなんて、当たり前のことだと思われるかもしれません。

しかし、前回も書いたように、私たちは守りたい関係や、生き延びるために必要な関係を維持するために、自分の感情を犠牲にしてしまいます。

好きな人と別れたくなくて、相手に対する怒りを飲み込む。

泣くと親から怒られるので、泣くのを我慢する。

ソリの合わない上司でも、出世のために嫌悪感を押し殺す。

でも、こうしたことを慢性的に繰り返すことで、心に感じられなかった感情が蓄積していき、体調や行動面、感情面にネガティブな影響が出ることがあります。

「上司の悪口は友達に言って、発散しているから大丈夫」

という人もいるかもしれません。

しかし、感情をしっかりと感じるためには、普通の会話よりもずっとゆっくりで、行きつ戻りつするプロセスが必要です。

感情についてたくさん話していても、実は、その体験から何かを得たり、何かに気づいたりして、自分のあり方を変化させるほどには、十分に感情を体験していない場合がほとんどなのです。

例えば、愚痴を言うとその場では多少すっきりします。

他の人が自分と同じことを感じてくれたり、共感してもらえたりすることで、ほっとすることもあるでしょう。

しかし、愚痴を話すときの人の感情状態は、本当に感じたい大切な感情が、オブラートに包まれていたり、別の感情の中に紛れてしまったりして、はっきりと体験されていません。

そのときはなんとなくすっきりしても、数日経つとまた元に戻ってしまうのはこのためです。

カウンセリングと日常の会話には、このように「本当に感じたい大切な感情をしっかりと体験しているかどうか」という違いがあるのです。