Talk to Your Heart

〜自由が丘カウンセリングオフィスのblog〜

カウンセリングですること:自分の中の評価や決めつけ(ジャッジ)に気づく

普段の生活の中で、「自分を見る」というと、鏡越しに見た目を整える場面を思い浮かべる人が多いでしょう。一方、カウンセリングの中で、「自分を見る」というのは、自分の内面や心の動きを観察したり、感じたりすることです。

クライエントさんだけでなく、多くの人たちが、自分の心の動きを感じ取りながら生活しています。カウンセリングの中では、この「心の動き」を言葉やイメージ、身体の感覚などを通して、ゆっくりと見ていきます。

日常的に、私たちがついやってしまいがちなのは、自分の心の動きを「評価(ジャッジ)」することです。

「これは良い・これは悪い」「これは間違い・これが正しい」

自分の心が感じたことに、こんなふうに評価をつけていないでしょうか。

あるいは、「こんなふうに考える自分は心が狭い」とか「こんなふうに感じるのは被害妄想だ。情けない」などと、自分の心の動きに対する決めつけをしていませんか。

こうした評価や決めつけは、すぐに・自動的に起こるので、カウンセリングを始めるまで、自分が自分に対して厳しい評価をしていたり、ネガティブな決めつけをしていることに気づかない人もたくさんいます。

気づかないでいたときは、「なぜだかよくわからないけれど生きづらい」状態ですが、評価か決めつけに気づくと、「これが自分を苦しめている」とわかり、それだけで自己効力感(問題に対処できるという自信)を感じられるようになります。

また、こうした評価や決めつけには、必ず「根っこ」や「源」があります。

それは、子どもの頃の重要な他者から言われたことであったり、子どもなりに状況を理解しようとして出した結論であったりします。

例えば、下のきょうだいに手がかかり、親からあまりかまってもらえないという体験をすると、子どもは「自分がいい子じゃないから、かまってもらえないのだ」と、自分なりの理由を見つけて、納得しようとするのです。

自分に対する評価や決めつけに気づき、それが必要だった理由をカウンセラーと一緒に理解し、その評価や決めつけが、これまで自分を守ってきてくれたことに思いをはせると、自然と、クライエントさんの方から「(こうした評価や決めつけは)今の自分には、もう必要ないものだから、手放してもいい」という気持ちが語られることもあります。

こんなふうにカウンセリングの中で、自分の心の動きを見つめていくと、自分が日々さまざまなことを受け取って、それに反応し、自分の心を守るためにたくさんの労力を割いていることがわかってきます。

生きるというのは、決して単純なプロセスではないということ。

家族や友人がいても、ときに自分は、つらい心の痛みに一人で対処してきたということ。

自分の中の評価や決めつけに気づくことは、生き延びるために自分がやってきた努力や知恵を見つけるための第一歩です。

自分の中の評価や決めつけを超えたところに、新しい自分との向き合い方や、新しい人生の歩み方が見えてきます。

そうしたプロセスに立ち会えることが、カウンセリングを生業としていく私のモチベーションの一つなのです。