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〜自由が丘カウンセリングオフィスのblog〜

伊之助がカウンセラーに見えた話(映画ネタバレあり)

今週のお題「最近見た映画」

はてなブログさんの今週のお題も、ちょうど映画に関することだったので、今日は『鬼滅の刃無限列車編』の感想を少しだけ書いてみたいと思います。

以下、映画のネタバレを含みます。

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鬼が見せる夢から覚めるために、炭治郎が自決を繰り返すシーンは、見るのがつらいと感じた方も多かったのではないかと思います。

何度も術にかかり、夢と現実の区別がつかなくなったときに、伊之助が、「これは夢じゃねぇ!」と言って、炭治郎の刀を押さえつけ、自決を止めるシーンがあります。

あのときの伊之助の迫力は、ぐっと胸に迫ってくるものがあったのですが、それは、彼が炭治郎を守ったということに加えて、私の仕事にも必要なものが、そこにあったからかもしれないと思いました。

というのも、夢の中の炭治郎の自決は、クライエントさんたちが繰り返す「つらい状況にいたときに必要だった対処法」に似ています。

自分を傷つけることで生き延びてきた過去。

自分を傷つける必要がなくなった今でも、その方法を繰り返してしまう。

トラウマを抱えたクライエントさんは、夢と現実の区別がつかなくなった炭治郎とおなじように、過去と現在の区別がつかない状態です。

かつて必要としてきた刃で、今もなお自分を傷つけるのです。

その状態のクライエントさんに対して、伊之助のように、過去と現実をはっきり区別して、現在に侵入してくる過去を断ち切り、今ここにとどまってもらうこと。

それが、私たちカウンセラーの仕事です。

「今、あなたの前にいるのはあなたを苦しめてきた相手ではなく、トラウマを解消するために一緒に闘っている相手です。だから、ここではもう自分を傷つける必要はないのです」

過去の対象関係と、今ここでの治療関係をしっかり区別する。

マスターセラピストたちのビデオセッションには、しばしばこうした介入が見られます。

伊之助の力強さに、カウンセラーとしての自分も励まされた。

ああいう熱い気持ちで、クライエントさんを守ろうと思わせてくれた。

胸にぐっと迫ってきたものの正体は、それだったのではないかと思っています。

煉獄さんについても、書きたいことがたくさんありますが、それはまだもう少し温めてからにします。

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。