「怒りっぽいのを何とかしたい」
そう言ってカウンセリングにいらっしゃる人には、必ず怒りの感情コントロールに問題があるかというと、そうではないような気がします。
「怒りの感情をコントロールできない」は、表面に浮かび上がっている状態でしかなくて、その背景には、疲れや不安といった別の原因があることも多いのです。
疲れているなら、その解決策はゆっくり休むことです。
その人を怒りっぽくさせている不安の根っこに、何があるかを探ることです。
何が正しいのかわからない子育てや、経済的な困窮が不安の原因かもしれません。
もしそうなら、不安になっても当然であると、その不安を認めたり、不安になっている自分に「それは当然のことなんだよ」「不安になってもいいんだよ」と言ってあげることが大切です。
会社員という役割、親という役割、妻・夫という役割、またそれらに伴う責任。
そういうものから解放され、ふっと自分自身に戻る時間を、私たちはどれだけ持てているでしょうか。
年中無休の主婦業は、休みたくなって当然です。
毎日、満員電車で通勤するのもほとほと嫌になるでしょう。
反抗期の子どもをかわいいと思えないことだってあるはずです。
万全の準備をして臨んだと思ったプレゼンが、大失敗に終わることもあります。
私たちは、100%期待に応えられるようにはできていません。
疲れて何もしたくない日もあるし、自信がなくなることだってあるし、責任から逃げ出したくなることも、相手と向き合いたくないと思うこともあるのです。
自分自身の弱さと折り合っていくこと。
誰かの弱さにそっと目を瞑ること。
自分が頑張っていると、誰かが休んだり、何かにきちんと向き合っていない人をみると、腹が立つこともあるかもしれません。
そんなときは、自分の肩をそっと叩いて、こう訊いてくれる誰かをイメージしてみましょう。
「ひと休みする?」
キリキリ・カリカリしてしまうのは、あなたが全力で走ろうとしているからかもしれないのです。そして、そんなあなたに誰も目を止めてくれないからかもしれません。
「よく頑張っているね」
「ちょっと休もうよ」
そんな声を、誰もが必要としているのかもしれません。
自分にそう言ってみて、または、誰かからかけてもらったこの一言で、心がすぅっと軽くなる感じがすれば、それが一番の「アンガー・マネジメント」です。