「感情を言葉にする」は、まだわかる。
「体験を探索する」って、一体なに?
心理学に関心のある一般の方が、臨床心理の専門書を読むと、こんなふうに思うんじゃないかなぁと、よく思います。
専門用語まではいかなくても、独特の表現というのが、専門書には多いのかもしれません。
でも、「体験を探索する」って、例えば、私たちがLINEのスタンプや、Twitterで顔文字を選ぶことと近いのです。
この気持ちを表現するには、この絵文字、このスタンプがぴったりだなと思うとき、私たちは、自分の心の中の体験を「どんなふうかなぁ〜」と見ているのです。
そして、「あれでもない、これでもない。そう、これだ!」と自分の体験にぴったりなスタンプを送るのです。
SNSの魅力は、こんなふうに言葉ではうまく伝えきれない体験の側面をすくい上げるツールがあるからなのかもしれません。
自分の体験にぴったりなスタンプを見つけると、一種のカタルシス効果(思いを表現できてスッキリする感覚)が得られるのだと思います。
ただ、スタンプを送って終わりではないのが、カウンセリングです。
カウンセラーは、クライエントがスタンプを見つけて笑顔になったところで、「で、それってどんな感じ?」と尋ねるでしょう。
カウンセリングでは、「体験すること」と同じくらい、「体験を振り返ること」を重視します。
この2つの作業は、脳の中の活動する場所が異なると考えられています。
「体験する」ことは右脳、「体験を振り返る」ことは左脳の働きです。
右脳と左脳それぞれ働かせることで、体験がしっかりと総合されていくと考えるのです。
最後の方はだいぶ専門的な話になってしまいましたが、要するに、カウンセリングは何も難しいことや特別なことをする場ではないということです。
みなさんが普段何気なくやっていることを、もっと意識して行ったり、もっとゆっくり丁寧に行っていくという感じでしょうか。
反対に言えば、日常の中にも、心を穏やかに、豊かにするヒントがたくさん隠れているということです。
「カウンセリングって一体何をするの?」という質問に、なかなか一言で答えられないので、こうして少しずつ書いていけたらと思います。