Talk to Your Heart

〜自由が丘カウンセリングオフィスのblog〜

泣きたくても泣けない人へ

「泣いたところでどうしようもない」

「怒っても何も変わらない」

相手は励ましの意味で言っているのだとしても、こうした言葉には、本来感じるべき感情を「感じても意味がない」というメッセージが込められているような気がします。

目の前の現実が変わらなければ、感情を感じても意味がないのでしょうか。

心理学的な観点から言えば、答えは「ノー」です。

感情を感じ切ることを、英語でemotional processingと言ったりするのですが、要するに、「気がすむ」ということではないかなと思っています。

ここで言う「気」とは、「気持ち/感情」であり、「エネルギー」です。

私たちが本来感じるべき感情には、エネルギーが伴っていて、それには始まりがあり、終わりがあります。

カウンセリングの勉強をしていると、そのエネルギーの流れを止めないで、最後までやり切ることができたら、つらい感情もトラウマとして残ることがないと言われているのです。

目の前の人が泣いていると、「この人はこのままずっと悲しみに暮れてしまうのかもしれない」と心配になり、つい冒頭のような言葉をかけて、励ましてあげたくなるかもしれません。

でも、どうか「気がすむまで泣きなさい」と言ってあげてほしいのです。

カウンセリングをしていると、クライエントさんの「ようやく流れることができた涙」や「やっと言葉になった怒り」に出会うことがあります。

そのとき、カウンセラーから、「やっと流れることができた大切な涙ですね」と伝えます。

そうしないと、クライエントさんはやはり、「泣いても仕方ない」という言葉を思い出してしまうからです。

今の涙は、止めるべき涙ではなく、流してあげるべき涙です。

この世界に、感情の居場所というものは、なかなかないものだなと思います。

でもだからこそ、クライエントさんの感情に出会えた瞬間は、とても大切で、いつも感動的なのです。

泣きたくても泣けない人が、泣けるようになるまでの道のりは、そんなに簡単なものではないかもしれません。

でも、その分、気持ちを押さえ込んできたんだねと、自分をいたわってあげてください。

まずは、自分の心といい関係を作ること。

そうすれば、感情のほうから口を開いてくれるはずです。