子どもの頃、よく父親が子守唄を歌いながら、私を寝かしつけてくれました。
レパートリーなんてありません。
いつも同じ曲。
同じフレーズの繰り返し。
時折、裏返る声。
頭の中のカセットテープで、何回でも再生されます。
新型コロナウィルスの影響で、漠然とした不安が続く中、最近よくその歌声を思い出していることに、ふと気がつきました。
不安に負けないように、心が大切な記憶を引っ張り出してきてくれたようです。
子守唄を歌ってもらっているとき、私はきっと世界で一番安全な場所にいました。
あれに勝る安心は、もう見つけられないのではないかと思うほどです。
今ここにはないものでも、「安心させてもらった体験」を思い出すことで、私たちは今の自分を勇気づけることができます。
他の誰かを励ます力も、湧いてくるかもしれません。
不安な日々の中で、今までもらってきた宝物に気づけることもあるのだなと、不思議な気持ちです。
みなさんも、最近ふとよぎる昔の記憶はありませんか。
もしかしたらそれは、今のあなたを勇気づけるための、過去からの贈り物かもしれません。