こちらの書籍の帯の言葉、私はとても好きです。
「相談してくれてありがとう」
勇気を持って打ち明けた相手を受け止める、大切な言葉だと思います。

SNSカウンセリング入門: LINEによるいじめ・自殺予防相談の実際
- 作者: 杉原保史,宮田智基
- 出版社/メーカー: 北大路書房
- 発売日: 2018/05/30
- メディア: 単行本
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つらいことを打ち明けるときの心は、無防備で傷つきやすい状態にあります。
だからこそ、会ったこともない専門家よりも、身近な人、自分を傷つけないだろうと確信できる人に、最初に打ち明ける人もいます。
学校でいじめられていること。
性被害にあったこと。
大学の研究室になじめず、居場所がないこと。
職場で上司からひどいパワハラを受けていること。
配偶者からの暴力や暴言に悩んでいること。
でも、「その事実を受け入れる」ということは、身近な存在だからこそ難しい場合もあります。自分の子どもに、きょうだいに、恋人に、友人に、そんなことが起こったなんて思いたくない。そんな気持ちが働くのは当然のことです。
でも、思わず発せられた次のような言葉は、相手の心を深く傷つけます。
「あまり深刻に考えない方がいい」
「そんなことは忘れた方がいい」
「そういうことはどこに行ってもあるものだよ」
こうした言葉たちは、実は、相談された側がその事態を受け止めきれないが故に発せられることが多いのです。
「どこにでもあること」だから「考えないで」「忘れて」ほしいという思いは、本当はそれを受け止めきれない「自分のため」なのです。
もちろん、決して故意にではないのですが、十分気をつけておかないと、私たちは容易にfor me をfor you、「あなたのため」というメッセージにすり替えてしまいます。
つらい体験を打ち明けられると、受け止める側の心も傷つきます(二次受傷)。
でも、どうか、ぜひこう言ってあげてください。
「大切なことを話してくれてありがとう」
「相談してくれてありがとう」
あなたは、傷ついた心を抱えた相手が、この人ならと思った相手なのです。
そこにはとても大きな信頼があります。
あなたを信頼して、勇気を出して話してくれた相手の言葉を、どうか「ありがとう」と受け止めていただけたらと思います。