こちらも名著ですが。
こちらもかなりの名著です。
レヴィナスは、他者のありように関して、ブーバーを批判しているのですが、このブーバーという人もまた、他者、彼のことばを借りれば「それ」や「汝」と、「我」との関係について考え尽くした人です。
ブーバーは、感情に関してもいろいろ書いているので、読んでいてとても刺激的です。
感情は〈内にあるもの〉で、ひとはこの中で生活するとき、組織から逃れてほっとした想いになる。(中略)ここはわが家であり、安楽椅子に身をのばすことができる。組織は雑踏する広場であり、感情はつねに変化に富むはなやかな女性の私室である。(p.56)
こういう記述から、ブーバーが感情とどのように向きあい、感情を慈しんできたかがわかるような気がします。こんなふうに、感情に開かれている著者の書くものに、私は惹かれる傾向にあるようです。
レヴィナスも、「主体性の成立」のあるところに「家」があるとしていて、どうやら私たちの身体の中には、感情と戯れることのできる、あるいは、感情と私たち自身の戯れによって作られる「家」があるようです。
学問や文化、芸術の持つ意義は、こんなふうに、比喩を通じて私たちに大切なことを教えてくれることにあるような気がします。
自分の中に、感情のためのおうちがある。そんなふうに思うだけで、なんとなく、愛おしさがこみ上げてきます。
そのおうちへの帰り方がわからなくなったとき、私たちは文字通り迷子のように感じ、自分を見失ってしまうのかもしれません。
その帰り道の見つけ方も、やはり、身体に尋ねることが一番ですし、フォーカシングという心理療法の技法が役に立ちます。
フォーカシングを体験すると、自分の人生の羅針盤は、自分の中に確かにあると思えるようになります。

- 作者: アン・ワイザーコーネル,Ann Weiser Cornell,大沢美枝子,日笠摩子
- 出版社/メーカー: コスモスライブラリー
- 発売日: 1999/09
- メディア: 単行本
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