今日は、この本からご紹介です。

- 作者: フランソワルロール,クリストフアンドレ,Francois Lelord,Christophe Andr´e,高野優
- 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
- 発売日: 2005/08
- メディア: 単行本
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感情とは何か。一言では、到底言い表すことはできません。
タイトルにも書いたように、感情は、いくつかの要素、いくつかの側面からなる統合体だと思いますし、個人的には、私たちの身体のなかを流れる血液のような、流動体のようでもあるとさえ、思っています。
冒頭にあげた本では、以下の4つの仮説が挙げられています。
①感情は遺伝である。(感情=遺伝説)
②感情は身体的な反応である。(感情=身体説)
③感情は思考である。(感情=認知説)
④感情は文化である。(感情=文化説)
このどれかが正解、というのではなくて、このすべてがそれぞれ感情の主要な側面であり、それぞれの説を主張する研究者同士も、互いの説を認め合って共同研究を行なっています。
遺伝から文化に至る流れは、まるで人の一生を見るようです。
受精卵から、身体感覚を通じて世界を知っていく乳児期を経て、考える人となり、文化的な存在になっていく。
その流れに常に沿ってあるのが、私たちの感情なのです。
人間の機能の中心には感情がある、という理解に基づき、感情体験の変容によって、個人の変容をもたらすことを目的とした心理療法もあります。

- 作者: レスリー・S・グリーンバーグ,岩壁茂,伊藤正哉,細越寛樹,関屋裕希,藤里紘子,村井亮介,山口慶子
- 出版社/メーカー: 金剛出版
- 発売日: 2013/10/09
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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それから、流れ、という言葉も、感情のひとつの側面を捉えているように思います。
なぜなら、感情は伝わるからです。遺伝情報は血縁関係がなければ受け継がれません。考えていることも言葉にしなければ、相手に伝えられません。身体の痛みが人に伝わるということもないでしょう。しかし、不思議と、感情は伝わるのです。
感情は、生命やエネルギーと、密接なかかわりを持っているように思えます。
私たちが生きていく上で、感情はエンジンのような役割を果たしているのかもしれません。私たちの中心にあり、その動力の持つ熱は、私たちの身体という境界を越えて、外の世界にも流れ出していくのではないでしょうか。