前回、怒りと愛について書きました。
このことが、とてもわかりやすく描かれているのが、ムーミン谷の仲間たちの中の「目に見えない子」というおはなしです。

- 作者: トーベ・ヤンソン
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2013/03/15
- メディア: Kindle版
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目に見えない子、というのは、ニンニという女の子のこと。
ニンニは、意地悪な叔母さんにひどい扱いを受けて、姿が見えなくなってしまいます。
彼女は、ムーミン一家に預けられ、ムーミンたちの暖かい愛情を受けて、次第に姿が見えるようになりますが、どうしても、最後、顔だけは見えないままでした。
しかし、あるとき、ニンニは大切なひとを守るために怒ります。その瞬間、彼女は顔を取り戻すのです。
Moomin - The Invisible Child - YouTube
(英語版ですが、なんとなくストーリーを追っていただけるかとおもいます。)
いじめられてすっかり、声も弱々しくなってしまっていたニンニに、大きな声を出したり、怒ったりするのはいいことかもしれないよ、とムーミンたちが話している場面は、身体と感情の関係を教えてくれます。
ムーミンママは最後に、「彼女に必要なのは怒ることだったの」と言います。
傷ついた心には、尊厳を取り戻すことがとても大切です。おはなしの最後、強くなったニンニを、私たちは見ることができます。
大切なものを守ろうとして、立ち向かうとき。
自分に危害を加える者から、自分を守るとき。
私たちを支えてくれるのは、怒りです。
そんなとき、怒りはみっともないものでも、悪いものでもなく、私たちにとって大切な力の源になってくれるのです。