2016-05-01から1ヶ月間の記事一覧
感情は、特定の機能と役割を有し、進化の歴史を生き残ってきました。 中でも大切な機能と役割のひとつは、“つなぐ”という働きです。 共生的な関係や信頼関係を築く上では、相手の感情を読み取ったり、自分の感情を相手に伝えたりといった感情の相互交流が欠…
熊本地震からひと月以上が経過しました。 心のケアの必要性に関する報道も、目立ち始めたような気がします。 headlines.yahoo.co.jp あれほど大きな災害を経験したのですから、心に変調をきたすのは、むしろ自然なことです。心の変調は、身の安全が確保され…
涙の謎に迫る、こちらの記事のまとめの最終回です。 time.com その1・その2では、涙が何に由来するのかに関する理論の変遷や、涙の役割と機能に関する研究知見について、ご紹介してきました。 emotion-lab.hatenablog.com emotion-lab.hatenablog.com 最後に…
ヒトはなぜ、感情による涙を流すのか。涙の持つ進化論的意味とは何か。 涙に関する記事の第2弾です。 emotion-lab.hatenablog.com 素材となっているのはこちら。 time.com ヒトはなぜ泣くのか。こちらの本に、8つの理論が紹介されています。 科学的に立証す…
人はなぜ泣くのか、そして、なぜまったく泣かない人もいるのか。 涙の謎に迫った、とても興味深い記事です。 time.com 進化論の祖、チャールズ・ダーウィンは、感情を伴う涙を“目的のないもの(purposeless)”と主張しましたが、それからおよそ150年の時を経…
先日、ご紹介した嘘に関する記事では、嘘をつくことにより、罪悪感などの感情的負荷がかかることが指摘されていました。 emotion-lab.hatenablog.com 一方、嘘をつくときには、辻褄を合わせる必要があったり、ついた嘘を自分で覚えていなければいけないとい…
もし、嫌な記憶を消す方法があるとしたら、試してみたいと思いますか? (まるで、『世にも奇妙な物語』の冒頭のセリフのようですが) time.com 記憶には、思い出のように過去のアルバムにきちんと収まるタイプのものばかりではなく、例えばトラウマ記憶のよ…
目は口ほどにものを言う、という諺もあるように、時に私たちは、姿勢、仕草、表情、まなざしなどによって言葉より多くを語ったり、唇には嘘を乗せ、瞳に真実を映し出したりしています。 今回の記事では、相手の本心を見抜く方法が紹介されていました。 ポイ…
近年、心理学の領域では、感情を生存や適応のためのシステムとみなすことが一般的になりつつあります。 ヒト以外の動物についても、この“情動システム”という考え方は、もちろん当てはまります。先日もご紹介したこちらの本には、動物の情動システムについて…
共働きの世帯が増加した昨今、多くの親御さんが期待する子ども像とは、どのようなものでしょうか。 物事に積極的で、好奇心旺盛で物怖じせず、どんな環境にもスムーズに順応する社交的で…つまり、“自分のことは一通り自分でできる、手のかからない子ども”と…
TIME.comより、神経科学の専門家であるロックフェラー大学のブルース・S. マッキイエン(Bruce S. McEwen)教授のインタビューをご紹介する、後半の記事です。 healthland.time.com 一定の負荷(ストレス)が脳を強くする 動物を対象とした研究では、一定程…
今回は、神経科学の専門家であるロックフェラー大学のブルース・S. マッキイエン(Bruce S. McEwen)教授のインタビューをご紹介します。 The Rockefeller University » Scientists & Research ストレスに関する興味深い記事でしたが、いつもより長めの内容…
感情は、長らく心理学の歴史において、その価値と機能と役割の重要性を見過ごされてきました。 それは、心理学を科学的な学問とする場合、行動や言葉のように観察したり、測定したりすることが可能なものを対象とする必要があったからです。感情は、確かに感…
今回取り上げるのは、こちらの本です。 books.google.co.jp 引き寄せの法則は、ポジティブ心理学とも共通することが多いですが、中には、悲しみや怒りといった感情は感じてはいけないといった感情に関する誤解を、読者や聴き手に与えるものもあり、諸手を上…
感情をめぐっては、人間だけではなく動物にも、とても興味深い話がたくさんあります。それも感情の魅力のひとつかもしれません。 こちらの本では、さまざまな動物の感情の世界が生き生きと描き出されています。邦訳もとてもわかりやすく、訳者の方が著者の動…
共感能力の高さは、環境によって左右される。そんな研究が発表されました。 healthland.time.com この研究で、共感能力を測る指標となっているのは、“他者が感じている感情を正確に読み取る能力”です。この能力によって、私たちは、相手の感じていることにぴ…
感情の感じ方や表し方は、国や文化の違いに影響を受けることが知られています。 今回は、ポジティブ感情に関する比較文化的な研究をご紹介します。 healthland.time.com こちらの研究では、“幸せ”、“喜び”、“誇り”、“強さ”という4つのポジティブ感情は、アメ…
先日、うつ病の治療や自殺の防止に、カウンセリングの効果が認められるという記事をご紹介しました。 emotion-lab.hatenablog.com emotion-lab.hatenablog.com 今回は、統合失調症の患者さんにも、薬物療法とカウンセリング(talk therapy)の併用が、最も有…
日本でも最近、妊産婦のメンタルヘルスに警鐘を鳴らす調査が発表されました。 妊産婦、10年で63人自殺=うつ病など、東京23区で:時事ドットコム 母性神話が根強い日本において、周産期の母親のメンタルヘルスの重要性は、実際よりもずっと軽んじられ…
感情は、人と人だけでなく、人と馬や犬といった動物をも結びつける。 emotion-lab.hatenablog.com そんな研究をこれまでもご紹介してきましたが、人の心をつかむヒントが感情に隠れているということに敏感なのは、心理学者たちよりも、むしろIT企業の人たち…
自ら命を絶つという行為を、私たちはどれだけ止めることができるのでしょうか。 一時期は3万人を超えていた国内の自殺者数は、減少傾向にあるとはいえ、昨年も24,025人もの人が自ら命を絶ちました。 平成27年の状況|自殺統計に基づく自殺者 - 内閣府 今回ご…
パートナーとよい関係を保ち続けるために必要なことは、何でしょうか。 それは多くの人が知りたい・実践したいと望む一方で、仕事や家事、育児の忙しさにかまけて、最もおろそかになりやすいものかもしれません。 ある研究では、相手の感情を読み取り、共感…
昨日は母の日でした。 感謝を伝え、伝えられ、優しい気持ちで1日を過ごされた方も多かったのではないでしょうか。 ここのところ、TIME紙に掲載される感情に関する記事を紹介することが多かったので、今回は、日本で行われ、少し前に話題になったある実験動画…
先日の記事では、想定されうるリスクを回避するために役立つという不安を感じることのメリットについて触れましたが、今回ご紹介する記事も、「不安は、あなたにとって良くない感情でしかないのでしょうか?」という問いかけから始まります。 下記のリンクの…
私たちが、日常の中であまり感じたくないと思う感情の一つに、不安があります。 不安を感じるからこそ、私たちは、翌日のプレゼンの準備や練習を入念に行ったり、集合時間を確認したりと、何らかの事態に備えてリスクを回避する行動をとることができます。し…
うつ病には、お薬を服用するだけよりも、抗うつ薬と心理療法の併用が効果的であるという認識は、一般的になりつつあるようです。 同様の話題が、以前NYTimesでも取り上げられていました。 time.com ここで、心理療法として紹介されているのは、認知療法です…
希望(hope)は、光に例えられることも多いですが、うつ病の苦しみのひとつに、寄る辺なさ(hopelessness)の感覚があります。 希望が光であるというのは、あくまでも比喩ですが、こちらの記事では、季節性のものではないうつ病にも、物理的な光が有効である…
先日、心の痛みの身体の痛みは、脳の同じ場所で処理されることについて書きました。 emotion-lab.hatenablog.com ここでは、鎮痛剤が心の痛みを和らげる作用を持つことにも触れましたが、今回はその反対、つまり、愛には痛みを和らげる効果があり、しかも愛…
今回の記事は、感情調整の能力に関するものです。 感情調整の困難や機能不全は、近年、さまざまな精神的な不調の背景にあるものとして注目されており、感情調整の能力を高めることは、心理療法の目的の一つにも挙げられています。今回の研究で、セラピストの…
過去にも触れましたが、近年の感情理論においては、ヒトの基本的な感情は、幸せ(happiness)・驚き(surprise)・悲しみ(sadness)・怒り(anger)・恐怖(fear)・嫌悪(disgust)の6つであるとする考えが一般的です。 emotion-lab.hatenablog.com 今回ご…