胸が張り裂けるような悲しみ
自分ばかりでなく他の誰かをも傷つけてしまいそうな怒り
存在価値、存在意義、存在に対する承認を奪われたような恥
終わりのない憎悪
骨が砕けるような孤独
こうした感情に耐えられる人は多くありません。
「感情なんてなくなってしまえばいい」という気持ちは、感情を感じ続けることの苦しみから、自分を解き放つある種の防衛反応とも言えるでしょう。
しかし、それが個人の心の中に留まらず、「感情」は諸悪の根源であるとし、感情のないクリーンな世界が作られたとしたら、どうでしょう。
感情を持つ人、愛情に基づいて他者と親密な関係を結ぶ人が、「欠陥者」とみなされ、治療という名の下に感情を消され、それでも感情を持ち続ける人を、自殺に追いやるような世界。
そんな世界で、人間が生きていくことはできるのでしょうか。
感情を持つことの喜び、痛み、葛藤。
感情のない世界に生きながら、感情に翻弄される人々。
それらをSF仕立てのストーリーで描いた映画を見ました。
邦題:ロスト・エモーション(原題:Equals)
この映画の主人公は、もしかしたら感情かもしれないと思いました。
主人公たちが見せるあらゆる感情。
感情を排除した世界だからこそ、ひとりひとりの感情が際立って見えます。
不安、恐怖、嫌悪、恥、孤独、愛、喜び、悲しみ、苦しみ。
様々な感情が、登場人物を駆り立て、癒し、翻弄し、慰める様は、見ている方の心も揺さぶります。
久しぶりに、ブログに紹介したい内容でした。
この年末年始、お時間がありましたらご覧ください。
結末は、幸いなことにハッピーエンドです。