emotion laboratory

感情は人生の羅針盤

涙の科学 その2

ヒトはなぜ、感情による涙を流すのか。涙の持つ進化論的意味とは何か。

涙に関する記事の第2弾です。

emotion-lab.hatenablog.com

素材となっているのはこちら。

time.com

ヒトはなぜ泣くのか。こちらの本に、8つの理論が紹介されています。

科学的に立証する術はないものの、SFのように楽しめる水生類人猿説に基づくものや、生化学者のWilliam Frey博士が提唱した説(泣くことによって、ストレスにより増加した血液中の過剰な物質を取り除くことができる)もあれば、より妥当性の高いものとして、“涙は社会的な絆や、人と人とのつながりを生み出す”という説もあります。

ヒトは他の動物に比べ、未熟で弱い状態で生まれてきます。

年を重ねて、ある程度のことは自分でできるようになっても、決して万能になることはできません。私たちは、いくつになっても、他者の助けを必要とします。

感情に関する研究を行っているJonathan Rottenberg博士は、涙は、自分の対処能力を越えた状態であるということを、自分や他者に伝えるシグナルであると述べています。

「つらい」とか「助けて」と言うことは難しくても、涙がこぼれ、相手が心情を察してくれたことによって、助けを得ることができたという経験は、多くの人にあるのではないでしょうか。

さらに、このような“相手の心を動かす涙”と、“タマネギを切ったときに出る涙”とでは、成分に違いがあることも明らかになっています。

感情を伴う涙にはタンパク質が多く含まれていて、粘性が高いため、肌に留まりやすく頬をゆっくりと伝うのだそうです。これにより、他者の目に留まりやすくなるのだろうと、推測する研究者もいます。

これらの事実は、他者に働きかけるシグナルとしての涙の機能に、より説得力を持たせます。具体的には、以下のような涙の働きが挙げられています。

・涙は弱さの表現であり、弱さを見せることは、人と人とをつなぐきっかけになる。

・涙には、相手の怒りを和らげるなどの形で、他者を操作する機能がある。

・涙は、異性の性的欲求や怒りを抑制する。

涙にこのような社会的な役割があるとしたら、「今まで一度も泣いたことがない」という人は、社会的つながりを持つことに不都合や苦手さを感じているのでしょうか。

この点については、次回まとめてみたいと思います。