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感情は人生の羅針盤

幸せならよいわけではない?:日本人に役立つポジティブ感情とは

感情の感じ方や表し方は、国や文化の違いに影響を受けることが知られています。

今回は、ポジティブ感情に関する比較文化的な研究をご紹介します。

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こちらの研究では、“幸せ”、“喜び”、“誇り”、“強さ”という4つのポジティブ感情は、アメリカ人のゆううつさを和らげるのには役に立った一方で、アジア人には役に立たなかったという結果が示されました。

実際の心理療法では、日本人にとっても幸福感や誇りは、ネガティブ感情から脱するためのとても大切な感情であるという実感がありますが、その表現はもしかすると、ずっと静かで控えめなものかもしれません。

また、先行研究では、アメリカ人にとっての幸福は個人的な達成感と結びついている一方、日本人にとっての幸福には他者との社会的な調和が重視されているということも明らかになっており、日本人にとっては、幸福は個人的なものではないため、ゆううつを振り払う力としては、十分ではないと感じられるのかもしれません。

他にも、アメリカ人と日本人の感情の感じ方には、以下のような違いがあることが紹介されています。

・日本人は、アメリカ人よりも感情を感じているという報告が少なく、感情体験が中立的である。

・日本人はアメリカ人よりも、喜ばしい状況で、“いくつかの気持ちが入り交じった感情(mixed emotions)”を感じていると報告することが多い。

こちらの本でも、アメリカ人にとってポジティブ感情とは喜び(joy)や愛(love)といった比較的強いものであるのに対し、アジア圏の人々では、平穏さ(calm)といった比較的穏やかな感情も、ポジティブ感情であるとみなす傾向が強いという調査結果が紹介されています。 

ネガティブな感情が成功を呼ぶ

ネガティブな感情が成功を呼ぶ

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ポジティブ感情が、日本人を含むアジア圏の人々に役立たないというわけではなく、ポジティブ感情の社会的な意味づけや、より役立つ感情の性質が異なるということなのではないかと思われます。

他者と自分の間に成り立つ幸福感よりも、ひとりの時間に感じられる心の平穏のほうが、確かで揺らぎにくいものだという感覚は、自分のなかにも存在するような気がするのです。