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emotion laboratory

感情は人生の羅針盤

母親になる人にも大切な感情の話

日本でも最近、妊産婦のメンタルヘルスに警鐘を鳴らす調査が発表されました。

妊産婦、10年で63人自殺=うつ病など、東京23区で:時事ドットコム

性神話が根強い日本において、周産期の母親のメンタルヘルスの重要性は、実際よりもずっと軽んじられてきたかもしれません。

アメリカでは、15%の女性が出産後ひと月にわたり、うつ症状に悩まされると言われています。産後のうつに苦しむ女性は、子どもに対して共感的にかかわったり、子どもが示す感情や欲求に応答したりするための脳の機能が低下してしまうことがわかっています。

healthland.time.com

また、こうした女性たちは、自分自身の感情にも気づきにくくなります。

この研究では、産後うつに悩む女性と、そうでない女性との間には、感情調整にかかわる脳の部位に違いがみられることも明らかになり、産後うつは生物学的な基盤をもつ“疾患”であるという可能性も示唆されています。

もちろん、産後うつを引き起こす要因は、生物学的要因だけではなく、母親を取り巻く状況や対人関係、育児の難しさ、疲労や睡眠不足、大切に育てたいという思いからくるプレッシャーなど、さまざまあるでしょう。

これまでの記事でも触れていますが、脳には変化する性質があり、感情調整の能力も後天的に育むことができます。大切なのは、母性神話にとらわれて、本来一人ひとりの違うはずの母なる人たちを十把一絡げにするのではなく、一人ひとりが安心して、自分を信じる気持ちを持てるように、子育てのために必要なことを知り、取り組んでいくことだと思います。

そのために、例えば、感情のコントロールに苦手さを感じている人が、妊娠前や妊娠中から感情調整のトレーニングをやってみるとしたら、それは、子育てに良い生活環境を整えることと同じくらい、賢い取り組みだと言えるでしょう。

今回は、感情調整に焦点を当てましたが、産後うつという状態を、母親個人やその家庭特有の問題に帰することなく、生物学的・社会文化的・心理学的などあらゆる観点から検討し、それぞれの立場から支援のありようを模索していくことが必要に思われます。