emotion laboratory

感情は人生の羅針盤

表情筋と共感性の関係

海外ドラマ「lie to me」でも、このボトックス注射と表情による感情表出の関係が取り上げられていました。

この記事では、ボトックス注射を受けた人は、他者の感情を読み取りにくくなる可能性が指摘されています。

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心理学者らによって、私たちは他者の感情を同定する際、ある程度他者の表情を真似る必要があることがわかっています。ボトックス注射によって筋肉が麻痺すると、この微妙な表情の「モノマネ」が難しくなってしまうのです。

ヒアルロン酸のような筋肉の動きに影響を与えない成分を注射された群と、ボトックスのような筋肉を麻痺させる成分を注射した群、そして、表情筋をより動きやすくする成分を注射された群では、3番目の群が最もよく表情で表された感情を読み取ることができ、ボトックスを注射された群が最も表情の読み取りに苦戦したことが、この研究から明らかになりました。

さらに、過去の研究からは、ボトックス注射のように筋肉を麻痺させる施術を受けた人は、自分自身の感情にも鈍感になってしまうことが示唆されています。

これは、他者への共感性にも影響を与えるのではないか、とこの記事は指摘してます。

言うなれば、感情に蓋をされるような感じでしょうか。

ボトックス注射を受ける人は、決して抑うつ的な気分を抱えている訳でも、人生における困難を抱えている訳でもありません。しかし、表情の表出が筋肉の麻痺によって妨げられることによって、結果的に、自分と他者の感情の動きに対して鈍感になってしまうのです。

これは、「泣くから悲しい」と言うジェームズ・ランゲ説を彷彿とさせる論理です。

表情による感情表出は、「感情を体験した」と感じるために欠かせない構成要素なのかもしれない、という研究者のコメントも、この記事に掲載されています。

確かに、表情への表出を抑えることで、その感情が和らぐという作用はあるでしょう。 しかし、また別の研究では、欧米人は他者が周りにいてもいなくても同じような感情を表情によって表出する一方で、日本人は自分ひとりのときと、他者が周りにいるときとでは、後者の場合において表情による感情表出が少なくなることがわかっています。

だからといって、日本人が、その感情を感じていないかと言えば、そうではないような気がします。表情に表されなくても、感じられている感情というのも、あるのではないでしょうか。あるいは、表情表出は押さえられていても、筋肉の動き自体が抑制されるわけではないので、ポール・エクマンという心理学者が研究したmicro expressionのレベルでの表情表出は起こっているのかもしれません。

日本においても、感情の機能と価値がもっともっと重視され、感情に関する研究が発展することを願ってやみません。