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〜自由が丘カウンセリングオフィスのblog〜

感情の分類が書き換えられる-脳神経科学が明らかにすること

思いやりや承認といった、いわゆる“高等な感情”と言われていたものが、脳の機能上は、怒りや恐怖といった原初的な感情と同じルーツを持つことが明らかになったそうです。

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感情については、まだまだこのようにわからないことが、たくさんあります。

恥や罪悪感、思いやり、承認といったより社会的で複雑な感情は、これまで、怒りや恐れ、悲しみといった、映画「インサイド・ヘッド」に登場するような生得的な感情とは区別されてきました。

しかし、近年では、自己意識感情のひとつである恥についても、発達のある段階で芽生えるのではなく、人間が生得的に持っている感情だと主張する心理学者もいます。

感情に関する新しい知見や可能性を提供してくれるので、脳神経科学の研究には、今、多くの臨床心理学者や発達心理学者たちが注目しています。

心理学は、最初は言葉や行動といった、目に見えて測定可能なものから、心を理解する方法を模索してきましたが、それがいよいよ、脳や感情へと迫ってきて、こうした記事を目にするたび、また一歩、真実へと近づいたようでドキドキしてしまいます。

まだ、目を通せていないのですが、こんな記事もありました。

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ネズミも罠にかかった仲間に共感し、助けようとするというのです。

Compassion focused therapy という心理療法のワークショップに参加した際に、Compassion(思いやり)とは、他者の痛みに気づき、それをケアしようとすることと定義されていました。

昔、私が飼っていた犬も、野良の子猫になつかれて、自分のドッグフードを全部食べずに、その子猫の分を残してあげていたことがありました。

このように、思いやりは、生物学的な基盤に基づくもので、高等な脳を持った人間だけではなく、生き物に広く共通した特徴であることも、先のワークショップの中で説明されていたように記憶しています。

また、近々詳しくご紹介したいと思っていますが、馬には人の感情を感じ取る力があるとも言われています。

感情による絆(emotional band)は、人と人との間だけでなく、人と動物の間にもしっかりと結ばれる。そんなことは、ペットを飼っている人なら、日常的に体験することかもしれません。

感情が持つ可能性や汎用性は、おそらく、科学的に立証されている以上に広がりを持っているのでしょう。

それらが明らかになりつつある今、感情の分類の書き換えは、もうすでに始まっているのかもしれません。