emotion laboratory

感情は人生の羅針盤

「心の病」の定義を考え直す。

本日もNY Timesの記事をご紹介します。「Redefining mental illness」

http://www.nytimes.com/2015/01/18/opinion/sunday/t-m-luhrmann-redefining-mental-illness.html?_r=0

心の病を抱えた状態と、心が健康である状態との境界線は、必ずしも明確なものではありません。

幻聴や幻覚は「病気」という観点からみれば、統合失調症や精神病の症状として分類されますが、思春期や青年期のような自己同一性の揺らぎを体験する時期には、「健康」な人にも起こりうるとされます。

この記事は、心の病を薬でしか治療できない「病気」として医学的な文脈でのみ診断したり、認識したりすることに対して警鐘を鳴らしています。

また、脳についてのさまざまな謎が解明されるにつれ、診断そのものが脳の正確な理解に基づかないものであったことが明らかになったという、ややショッキングな記述もあります。

それなら薬を飲んでも意味がない、という結論に至るのは性急すぎますが、確かに、心の病は、おそらく文化的・社会的文脈といったより広い観点から捉えられる必要があるでしょう。そして同時に、病が持つ個人にとっての意味について考えることも重要です。

時には、“よくならないこと” が、非常に重要である場合もあるのです。

治りませんように――べてるの家のいま

治りませんように――べてるの家のいま

 

普遍性を見出すために診断基準を設けることのメリットと、診断基準によって個が軽視されることのデメリット。

その両方のあいだを行きつ戻りつし、議論し続けることが大切であり、カウンセリングという仕事においては、社会文化的な視点から「心の病」をみること、そして「心の病」がもつ個人にとっての意味を明らかにし、時に啓発するという大きな役割があるように思われます。