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emotion laboratory

感情は人生の羅針盤

うつ病治療には抗うつ薬か、心理療法か

今日は、1月8日のNY Timesの記事「To Treat Depression, Drugs or Therapy?」をご紹介します。

http://well.blogs.nytimes.com/2015/01/08/to-treat-depression-drugs-or-therapy/?_r=0

精神科のクリニックを受診する患者さんの中には、薬に対する抵抗を示す方も少なくありません。風邪薬や鎮痛剤などと違って、精神科の薬には「脳に作用する」というイメージから、怖さや抵抗がなかなかぬぐえないのは当然のことです。

しかし、自分の「脳」が心理療法よりもお薬でよく改善するタイプの脳だったとしたら、どうでしょうか。

この記事では、うつ病の患者に対し、抗うつ薬(レクサプロ:日本でも認可されているお薬です)と認知行動療法を行った結果、40%の患者ではどちらでも一定の効果が見られたこと、そして、抗うつ薬のほうが効果的だった群と、認知行動療法が効果的であった群とでは、脳に明らかな違いがあったことが報告されています。

それは、前島(島皮質 - Wikipedia)と呼ばれる部分の活動量の違いです。

この部位の活動が低下している群には認知行動療法が、反対に、活動が活発な群には抗うつ薬のほうが有効だったのです。

近い将来、f-MRIかPETによってうつ病の治療法を選択できるようになるかもしれない、という希望的観測がこの記事には書かれています。

また、この記事のよいところは、患者の生育史(トラウマ体験や虐待の有無)によっては心理療法のほうが功を奏するであろうこと、心理療法と投薬治療を合わせて行うほうが、どちらか一方だけを行うよりも効果的であることにも触れている点です。

平易な英語で書かれているので、ぜひ原文にも目を通してみてください。

最後に、心理療法の立場の違いによってはどうなのだろう、という疑問も提起されています。

うつ病には、認知行動療法よりも感情を扱うセラピーのほうが、効果の持続性が高いという研究もあります。これは、前島が、感情を伴う自己知覚を司る部位であることも関係しているのかもしれません。

乳幼児研究では、新生児がかなり早い段階で人と、人ではないものを区別することが明らかとなっています。

心理療法の強みは、立場によらず、人と人とのあたたかいつながりによって支えられている点なのではないでしょうか。