emotion laboratory

感情は人生の羅針盤

生きた知恵としてのマネジメント〜感情と労働

感情労働と法』。読み進めていくと、感情労働の話は、職場環境のマネジメントの話へと移っていきます。 

感情労働と法

感情労働と法

 

感情労働は、顧客との物理的•心理的距離感が近くなるにつれ、マニュアル化が難しくなる傾向にあります。例えば、カウンターを隔てて顧客とかかわるスーパーのレジやファストフード店のほうがマニュアル化がしやすく、看護や介護、医療、教育の現場のほうがマニュアル化が困難です。

後者の方が、顧客と個別的にかかわり、関係も深まるため、画一化しにくくなります。

そのため、顧客にかかわるためのマニュアルというよりも、個別的かつ関係的なかかわりを仕事として行う上での自己管理、あるいは従業員の心身の健康管理のためのマニュアルを作成するという視点へ移っていきます。

つまり、職場環境をいかにマネジメントするか、にかかわるマニュアルです。

ただ、マネジメントやマニュアル、という言葉は、何だか私の性に合わないようで、次に書く話は、焦点が少しずれてしまったかもしれません。

結論から言うと、マネジメントできるに越したことはないですが、個人的には、日々の業務の中で、従業員一人ひとりが想像力と創造力を持って働けるような底力のある職場環境が理想です。

マネジメントはあるのかないのかわからないくらいの、自然な、空気のような存在感でちょうどよい感じがします。

私の大好きな映画「イルマーレ  the lake house」の中に、交通事故に遭った患者を救えなかった若い医師ケイトに、ベテランの医師のクリゼンスキーがこうアドバイスする場面があります。

「若い医師にはいつもアドバイスしていることなの。よかったら、聞いてほしいのだけど、休日にできるだけ遠くへ行きなさい。自分自身に戻れるような場所に」

イルマーレ [DVD]

イルマーレ [DVD]

 

 これは人の死に立ち会う過酷な業務のなかで、クリゼンスキー自身が持っている自己管理上のマニュアルであり、それを若い医師にも伝えることで、職場におけるマネジメントとしての機能も果たしているように思います。この自然さが、いいな、と思うのです。

「精神的にきついときは、職場の健康管理課に相談しなさい」というマネジメントも悪くはないし、正当だと思います。

しかし、生きたマネジメントとは、クリゼンスキーがケイトにかけた言葉のような、人の身体を一度通った知恵が感じられる、自然で、普通のことだといいなぁと感じます。