Talk to Your Heart

〜自由が丘カウンセリングオフィスのblog〜

恥は自己全体に及ぶ感情

恥に関しては、原初的な感情であるという説と、自意識とかかわるより高等な感情であるという説と、異なる見解が示されています。 

感情研究の新展開

感情研究の新展開

 

 

Shame: The Exposed Self

Shame: The Exposed Self

 

 

「そんなことをしたら恥ずかしい」「みっともない」などと言って、しつけや社会性を身につけさせるために、恥が利用されます。行きすぎなければ、こうした恥の利用は一般的に見られることであり、必要なことと言えるでしょう。

しかし、こうした瞬間に見せる養育者や年長者の嫌悪の表情は、繰り返し用いられたり、過剰であったりすると、子どもに大きな影響を残します。

「それはよくないことだ」と罪悪感に訴えるような言い方よりも、「恥ずかしい」「みっともない」という恥に訴える言い方は、子どもの存在全体へのメッセージになってしまうからです。

この感覚が強まると、子どもはこうした「恥ずかしい」「みっともない」という言葉を、自分に対しても向けるようになってしまいます。

自分は恥ずかしく、みっともない存在だ、という感覚が、自己イメージに染み込んでしまうのです。

恥に対するアンチドーテは、褒めることよりも、誇りを持たせること。

その子の存在全体を肯定することが大切です。

外国ではよく、my angel とか、my perfect childrenと言ったりしますし、友人から勧められた次のような本もあります。

I love you because you are you. 

I Love You Because You're You

I Love You Because You're You

 

 かつて、「いき」の構造を書いた九鬼周造も、恥の対極に誇りを据えました。

「いき」の構造 他二篇 (岩波文庫)

「いき」の構造 他二篇 (岩波文庫)

 

 子どもの教育にとって、必要とされなくてはいけなかったのは、ゆとりではなく誇りであったように思います。